メンタルが弱い

数年に一度投稿される

『One Room』七橋御乃梨編を見る

私が愛してやまない5分アニメOne Room。今期の七橋御乃梨編はOne Roomが提供し続ける''強み''がよく出ているのでベラベラ話させてください。


①七橋御乃梨さんの設定について

個人的なOne Roomあるあるなのですが、設定が結構しっかりしているのに5分間の制限ゆえに気がつかない・忘れてしまうような情報がわりとHPに記載されています。特に年齢。今回のヒロインである彼女は高校生3年生。進路の問題にちょうどぶつかる時期、という設定なのでしょう。主人公こと「あなた」は苦学生。兄妹のような関係という文言からおそらくそこまで歳は離れていない。やりたいことがないという初期の発言からやはり大学生1〜2年生あたりが妥当でしょうか。後述しますが今回のテーマに当たる「変わるもの変わらないもの」の部分を裏付けるのが「古風な一面を持つ」のところ。お祭りに行っているところにも関わってくるでしょう。これはHPには記載されていませんが5話の冒頭あたりで七橋湯の煙突がスカイツリーと思われる建造物の近くにあることがわかります。周りもなかなか背の高い建造物が多い。まさに歴史の帰路に立たされているのが七橋湯です。墨田区で立派な煙突のある銭湯といえば千歳弁天湯だと地元の方に伺いました。ただ、そちらも閉店してしまったようでやはり銭湯経営は厳しいのかもしれません。


②各話の心理描写の紹介

各話の心理描写を洗い出し、深くまで読み進めるための助けとするのが目的。


5話 七橋御乃梨は起こしに来る

最初に起きたあなたは開店準備をめんどくさがります。最終話との対比ですね。火起こしのシーン。ウエストのラインが完璧なのとジャージの下をまくってるのがフェチポイント高くて素晴らしい。彼女の祖父は主人公のことを気に入ってます。あなたは結構頑丈なタイプかも(笑)。結婚の話が出てくるのはここが初出です。銭湯を掃除しているシーン。銭湯の経営状況はわりと深刻そうです。将来やりたいことは特にないあなた。「私も嬉しいよ?」のあと数秒素直になっています。七橋御乃梨さんはかなりからかってきますが、素直になる部分と、からかっている部分がかなりシームレス。すごくよくできている。あなたは彼女が素直に好意を伝えてきたことにちゃんと気がついて赤くなってます。雨から帰ってくる彼女。スカートを絞るシーンでガン見。作画解放。希望リフレインが流れていますが萌香ちゃんのアーティスト活動も順調なのかも。音楽の「好き」に反応しているので最初から意識していたあなたです。「んー?」→「意識しちゃうってこと?」からかいからのシームレス素直。女性はガン見されてたら気がつくイキモノ。


6話 七橋御乃梨はしんみりする

お祭りに誘われる。さらっと告白してくる彼女。でも古風な文化が好きな設定だから…あなたはかなりめんどくがりさんです。熊田神社。浴衣をガン見してるあたり超ゾッコン。かなり活発なタイプですね。金魚取ってます。「誰もいないね?」→「二人っきり、だね」いつものシームレス。地元の祭りの話をあなたにしているのでこの近くの生まれではないのでしょうか。賑やかだった祭りは廃れていくばかり。儚さを花火にたとえよう。彼女の七橋湯への想いは確固たるもので彼女も珍しくナイーブ。歴史的価値も高いようです。エンドカードスカイツリー写ってます。「ちょっとくらい、変わらないものがあってもいいのにね。」


7話 七橋御乃梨は無茶を言う

スカイツリー。進路指導の時期が来たようです。将来やりたいことはやっぱりないあなた。入浴シーン。あなたはおそらく一回「なんで部屋に来るの?」あたりの質問をしてます。美少女が来るなら黙って入れてあげよう。お祭りで取った金魚を水槽で育て始めたようです。二人を結びつける変わらないで欲しいもの、なのかな。からかい系女子は逆に押すと弱い定跡。下乳はどういう視点で見たんでしょうか。七橋湯の危機にも関わらず危機感は薄いあなた。でもきちんと彼女を見つけてフォローしてます。落ち込むと浴槽にいるのが癖なんでしょうか。冒頭でも浴槽の中で落ち込んでましたね。女性一人だと七橋湯は継げない。そのことが彼女を本気にさせる。エンドカードは見たことがない私服を着てました。


8話 七橋御乃梨はここにいる

窓のところに金魚鉢が追加されてます。新婚さんごっこ。あなたは彼女と距離感が近いこと、そして結婚ごっこ他結婚について何度も聞いているがためにどうも実感が湧かないようです。自分にイマイチ自信を持てないのかもしれません。ここで彼女は誤魔化す。そのわりに両手で握りこぶしを作っているのでかなり辛そうです。その仕草がなかなかあなたからだと気がつきづらいかもしれません。彼女がからかってきます。最後のシーンのことを考えるとあなたは彼女との今後について真剣に考えていたでしょうから、かなり動揺したのだと思います。最後のシーンはあなたが金魚鉢を見ているところから始まります。早起きしたあなたがどんな気持ちで金魚鉢を見ていたかはわかりませんが、彼女について考えていたことは間違いありません。わりと怠惰なあなたをいつも起こしていたであろう彼女との関係に変化が訪れます。突然やる気を出します。彼女は最初は羞恥から動揺しますが「そっか」と一言伝えてくれます。非常に彼女らしい、前向きで でも恥ずかしさを隠せないそんな一言でした。エンドカードで一緒にお風呂に入ろうとしていると思われるシーンが。ふーん、エッチじゃん。


☆作品のテーマ

「変わるもの変わらないもの」キャラクターソング『ポプラと僕らのヒストリー』の冒頭の歌い出し。「変わらない」二人の関係のために二人が「変わる」ストーリーが展開されている。テーマに沿って視聴するとまた違った色を見せるのでオススメです。


③展開について

なぜ数年ぶりに埃を被ったこのブログを引っ張り出してきたのか、という部分がここにあたります。5〜7話まであなたは基本的に怠惰でやる気がないと言われ続けています。ましてや8話の最後まで本気になっていません。本当は決意していたのかもしれませんが、自分に自信が持てなかったり、平々凡々とした日常の中で妹とも思える彼女と付き合うということはかなり現実離れした話だと思っていたでしょう。ここからが一番伝えたいところです。8話の結婚ごっこをやめた、あの夕焼けの時間があなたと彼女にとってかなりいい雰囲気であったのは間違いない。しかしその機会を逃してしまいました。それから彼女にお風呂で一回からかわれましたがそれだけで、あなたと彼女には特段進展するような劇的なエピソードは存在していないのです。つまり「七橋御乃梨は本気で、自分に対して好意を抱いていることがわかった」時点から時間が''唐突に''解決してくれたという形になります。あなたが唐突に決意した感を演出するために作品内では何度となくあなたが怠惰であることが裏付けられています。(そうした意図からも実際唐突なタイミングなんだと思います。)…ラブコメにおいてはなにかがきっかけになって交際が始まるパターンが圧倒的。ましてや5分間の制限があるなら尚更そう思うでしょう。しかしあえてあなたの決意までの時間をさほど演出せず、時間に解決させたのは彼女 七橋御乃梨との等身大の恋愛模様を演出する上ではこの一手とも言えるものでした。みなさんも胸に手を当ててみて下さい。恋愛において大きなチャンスが訪れた時に確実にそれをものにできますか?多くの人は何度となくチャンスを逃しながらも時間がそれを解決してくれる場合が大半ではないでしょうか。こうした恋愛における高いリアリティが実際に彼女と恋愛をしていることを印象づけるのです。最後に考えてみたいのはOne Roomの作品的価値とは何か?ということです。一人称視点で自分の姿が映らないので視聴者側の自由に視聴できること。そしてヒロインとあなたの2人で織りなされる等身大の恋愛--つまり彼女たちとリアルにイチャイチャできること。自らの価値を理解して一貫性と熱意を持って制作されているからこそ、こういう作品が生まれるのだと思います。


④さいごに

One Roomというコンテンツをもっと多くの人に知ってもらいたいです。長々と語っている不肖私めですが基本的には「かわよ」と呟きながら脳死で視聴しているので脳を殺して見るのにオススメです。ただ、奥が深いのはここまでで示した通り。自分が主人公で、かつ姿もセリフもないのでいつまでも新鮮に楽しむことができます。原画と人気声優のパンチで売ってるだけの作品じゃないんです!(悔しいが確かにいいパンチではある)正直2クールで終わるにはあまりにも惜しい作品なのでみなさんもハマって円盤買ってください。お願いします。あ、キャラソンも買ってください。世界観を補完できてとても気分が良くなりますよ。


おわり